【イギリス】ピーターラビットの故郷を訪ねて│イングランド・湖水地方

これまでにヨーロッパを中心に、50か国を旅してきました。日本も含め、世界各国の美しい風景、歴史的建造物、観光名所はもちろん、旅先ならではの様々なエピソードを紹介します。

イングランド北部の代表的な観光地といえば、ピーターラビットの故郷としても知られている、大自然豊かな湖水地方。

その代表的な町のひとつがウィンダミア(Windermere)です。

3泊5日という短期でのイギリス訪問期間中に、わずか1日だけの超ハードな日帰り旅だったので、とにかく時間がない。

かなりの強行スケジュールで駆け足だったのが残念です。

いざ、ウィンダミアへ

今回の旅の目的地がイングランド北部に集中していたため、この時はロンドンには滞在せず、ヒースローに着いたその足でそのまま北部の町リーズ(Leeds)へ移動して、リーズに3泊しました。

このリーズから湖水地方の代表的な町ウィンダミアへは鉄道を利用しました。

マンチェスターを経由して結構な距離がありますが、せっかく北部まで行くのだからとにかく1日だけでも湖水地方へ行きたくて。

リーズからの移動は鉄道で

経由地のマンチェスターには有名なサッカーチームがあるので、イギリスに詳しくないけど名前だけは知っているという方も多いのではないかと思います。

ロンドンに次ぐ金融の中心地である大都市です。

今回はトランジットのみだったので、つかの間、駅舎から街並みを眺めるだけで終了。

リーズからマンチェスター、そしてマンチェスターからウィンダミアへと乗り継いでの鉄道の旅ですが、電車が当たり前のように遅れたり、止まったりするイギリスの鉄道。

リーズからの朝の長距離移動には少々不安でした。

幸いにも多少の遅れはあったものの、乗り継ぎに問題なく、おおよそ想定していた時間内にはウィンダミアに到着することができホッとひと安心。

時間を気にしていたのは、現地のエージェントで日帰りツアーを予約していたからなのです。

出発時間に間に合わないとそのまま置いてきぼりを食ってしまうので、ツアーの集合時間より1時間くらい前に到着するよう計画をして、ホテルの朝食も諦めるくらい早朝にリーズを出発。

とにかく時間が気になっていました。

現地の日帰りツアーに参加

ウィンダミアに到着したのは集合時間40分くらい前だったので、まぁ、想定の範囲内です。

駅に到着したら、まずはエージェントのオフィスに向かい、参加する集合場所を現地確認。

集合場所までの10分程度の道すがら、高台になにやら素敵な建物が。

石造りの大きな建物は WINDERMERE HOTEL です。

とても雰囲気のある建物でひとめぼれ。

いつかまた湖水地方を訪ねるときには、ぜひ、このホテルに宿泊してみたいと思いつつ、、、どれだけの時間が過ぎたのでしょうか。(笑)

集合場所を確認した時点でまだ30分くらい時間に余裕があったので、時間まで周辺をお散歩することにしました。

イギリスの田舎町はそれぞれに個性豊かで、どこの町も大好きなのですが、この湖水地方もグレージュっぽい石造りや白壁の家々が立ち並ぶ素敵な町並みです。

ただ、イングランド中央部の田舎町に比べると、湖水地方は少々観光地化がかなり進んでいて賑やかな印象を受けました。

湖水地方の中でもウィンダミアはメジャーな町なので、もう少し小さな町に行けば雰囲気も異なると思いますが …。

ほどなくして集合時間となったので集合場所に戻ると、数名の参加者が集まってきていました。

大きなツアーではなくミニバスツアーなので、この時の参加者は10名程度だったと思います。

ちなみに、こうした現地ツアー(英語)は日本からインターネットで直接エージェントに事前予約が可能です。

日本の旅行会社を介して余計なお金を払う必要もないし、現地でしか申し込みができなくて予定が立てられない、なんてこともなくて済むのは本当に助かります。

便利な時代になりましたね。

私が参加したツアーのエージェントをご紹介しようと思いましたが、どーしても名前が思い出せません。

なんか動物の名前が入っていたということだけは覚えているのですが、メジャーな動物ではなかった。(笑)

なんだったかなぁ、、、

スミマセン、年々、記憶力が大変なことになております。

ピーターラビットの故郷へ

このツアーのメインは「ピーターラビット」ゆかりの地を訪ねること。

イギリスの作家、ビアトリクス・ポターが書いた絵本『ピーターラビットのおはなし』は23作ものシリーズがあり、今も世界中で愛されています。

私もイギリス留学中に原語の絵本を購入しましたが、ようやく念願かなって、そのピーターラビットの故郷へやって来ました!

留学で培った英語の耳はいずこ …

ミニバスに乗ってスタートしたツアーの最初の観光ストップは、このお城。

このツアーはお昼の時間をまたいではいますが、ランチは設定されていなかったため、最初のこのお城でコーヒーブレイクを兼ねた30分のフリータイムが用意されていました。

このとき、お恥ずかしながらお城の名前も詳細もハッキリ聴き取れておらず、ましてや解説なんてさっぱり理できないままバスを降りたのを覚えています。(笑)

なので帰国後に調べたのですが、お城の名前は「レイ城」。

ビアトリクス・ポターが16歳の時に家族と過ごした夏の避暑地だそうです。

彼女はビクトリア時代、ロンドンのサウス・ケンジントンにあるとても裕福な家庭で育ちました。

もともと大勢の使用人に囲まれた大邸宅に住んでいたと言いますから、避暑地が「城」というのも頷けますね。

もっとも、このレイ城は防衛や戦闘を目的として建造されたお城ではなく、お金持ちの男性が奥様のためのプレゼントとして建てた建物なのだとか。

それまでスコットランドで夏を過ごしていたポター家でしたが、家賃の値上げに伴いこの湖水地方のレイ城を借りることになったようですが、この湖水地方との出会いが「ピーターラビット」を生み出すきっかけになったようです。

お城の前のテラスから見下ろすウィンダミア湖の風景がとても美しく、似たような写真を何枚も撮影してしまいました。

この周辺は辺り一帯に緑が広がり、本当に心地の良い空間でした。

お城の周りには観光客がいますが、少しお城から降りたところに行くと、駐車場整理のお兄さんくらいしかいなかったので、大自然を独り占めできました!

Hill Top House & Gardens

ビアトリクス・ポターは、39歳のときにロンドンからこの湖水地方に拠点を移しました。

ヒル・トップ(Hill Top)に念願の農場を購入したのです。

その後、絵本の売り上げが順調に伸びて収入が安定してくると、彼女はナショナル・トラスト(自然保護活動)を支援するために、湖水地方の土地や建物を次々に購入していきました。

この美しい大自然の風景を残そうと、熱心に活動を続け、77歳で亡くなるまで、彼女はここに住んでいたそうです。

ビアトリクス・ポターがなくなった後も、彼女の望みどおり、このヒルトップの農場は当時ビアトリクスが住んでいたそのままの形で保存されています。

目の前に広がる緑豊かな大自然の風景は、忙しい日常をつかの間忘れさせてくれます。

現実社会に帰りたくない。(笑)

ガイドさんによると、ビアトリクス・ポターが77歳で実際に息を引き取ったは、さきほどの Hill Top House ではなく、こちらの写真の奥に映っている白い建物の2階の部屋出たそうです。

ワーズワース ゆかりの地

次に訪れたのは、やはりこの湖水地方をこよなく愛したことで知られるイギリスの詩人「ウィリアム・ワーズワース」ゆかりの地、ホークスヘッド(Hawkshead)です。

日本では彼の名に因んだ「ワーズワースの庭で」(のちに「ワーズワースの冒険」に改題)というテレビ番組がありましたね。

「ようこそワーズワースの庭へ」

そんなセリフがとても印象的で、今でもずっと耳に残っています。

毎回様々なテーマを、そのテーマに因んだゲストが登場して、VTRを挟みながらトークをすすめるというスタイルの、ちょっと知的な趣味の情報番組でした。

他の情報番組とは少し違った角度から様々な知識を得られる番組だったので、確か金曜日の23時過ぎから放送される深夜番組だったと思いますが、私は好んでよく見ていました。

Hawkshead Grammar School

ワーズワースが通ったというグラマースクールです。

1585年にヨーク大司教であったエドウィンサンディーズ大司教によって設立された学校で、彼は自ら教育のための十分な土地と財産を無償で提供、当時のエリザベス1世女王陛下に願い出て学校設立を実現したそうです。

「無料」で通えるグラマースクールとして知られていました。

とはいえ数多くの少年たちを名門ケンブリッジ大学にに入学させるような、非常に評判の良い学校だったようです。

このグラマースクールは1909年にすでに閉鎖されていますが、現在もその建物は残されていて、博物館として一般に公開されています。

建物の1階の教室にある机には、ワーズワースと弟のジョンが彫った落書きが遺されていると聞いたので、ぜひその落書きを見てみたかったのですが、フリータイムの時間が限られていたため博物館の中を見学できなかったのが心残りです。

Hawkshead の町並み

ホークスヘッドの町はこじんまりとした静かな町。

30分くらいの短い時間でしたが、中心部のお散歩には十分すぎるくらい。

白壁のおうちに色とりどりのお花が飾ってある風景は、おとぎ話に出てきそうなくらい可愛らしかったです。

そして何よりも、この景観を守るための工夫に感心しました。

この建物、普通の民家かと思いきや、なんとPOLICE OFFICE(警察署)でした!

ヨーロッパにはこうしてその町の景観を損なわないよう、昔の建物がそのまま行政機関や公共設備に使われているのをよく見かけます。

ただ、あまりにも町の風景になじみ過ぎて、何かって緊急に駆け込みたくても気づかないかも、という心配はありますね。(笑)

日本でも各地で景観保護のための様々な取り組みがされていますが、古き良き時代の景観をそのままに維持することと、生活様式やとりまく社会環境の変化に伴った現代の生活を守ること、この共存はこの先もずっと人々が抱える課題なのかも知れません。

湖水地方の湖をめぐる

湖水地方は、レイク・ディストリクト・ナショナル・パーク (Lake District National Park) と呼ばれ、このエリア全体が2017年に世界遺産に登録されました。

私が訪れたのはそれより少し前のことなので、世界遺産に登録されて以降の現在では、もしかすると観光するにもいろいろな制限が課されているかも知れません。

このエリアにはいくつもの湖が点在していますが、今回私がツアーで訪れたのは2つです。

ハウズ湖│Tarn Hows

「Tarn」は小さな山の湖、「Hows」は丸い丘、という意味だそうです。

1929年にビアトリクス・ポターの所有となり、彼女の没後、ナショナルトラストに寄贈されました。

バスの止まっている道路からは緑の斜面を下っていかないと、近くでは見られない場所でした。

「写真を撮りたい人がいたらどうぞ」と、がわずかなフォトストップタイムを作ってくれたのですが、バスを降りたのは私ともう一人だけ。

なぜ 。。。(笑)

私はダッシュで緑の丘を駆け下りてこの写真を撮影しましたが、なんせ2人しかいないので、焦りました。

もっとゆっくりと湖畔を散歩したかったな。

ウィンダミア湖

その後に訪れたのが、このツアー最後の訪問地である「ウィンダミア湖」。

イングランド最大の大きさを誇る湖です。

ここでは中型のボートに乗っての湖上遊覧を楽しむことができました。

強い日差しを受けながらの遊覧でしたが、久々のボートクルーズにテンションが上がります!

どこかの湖畔に何か特別な観光名所があるわけではありませんが、青い空の下でのクルーズはととも気持ち良く、最高に楽しいひととき。

イギリスでは、スコットランド北部ハイランド地方にあるイギリス最大のる「ネス湖」に生息するという謎の未確認生物「ネッシー」がよく知られていますが、実はこのウィンダミア湖にも似たような話があります。

こちらは「ボウネッシー(Bownessie)」といわれる謎の未確認生物。

目撃情報は1900年ごろから多数報告されているとのことですが、真実やいかに。

この湖のクルーズではいくつかの桟橋に立ち寄ります。

観光客だけでなく、湖畔に暮らす人々の移動手段にもなっているようでした。

私が利用した際にはワンちゃんを連れたご夫婦らしき方々が、遊覧の途中に降りて行きました。

イギリスの旅にハプニングはつきもの

駆け足の日帰り現地ツアーでしたが、渋滞にハマることもなく無事にスケジュール通りにウィンダミアの町へ帰ってくることができました。

バスツアーが多少遅れてもいいように、帰りの電車は時間に余裕をもって予約していたため、むしろ1時間以上の待ち時間。

時間をつぶすのにひと苦労

田舎町のお店は閉まるのが早い。

夕方とはいえ、サマータイムでまだまだ太陽は高く真昼のような明るさにも拘らず、お土産屋さんなどはもう店じまいしてしまっていて、飲食店しか開いていない状況。

ゆっくり座って何かを食べたい気分でもなかったし、かろうじて開いていた1軒の小さなス―パマーケットに立ち寄りブラブラ。

それでも中途半端に時間が余ってしまい、ひたすら町並みを眺めながらお散歩をして時間をつぶすことになりました。

ちょっともったいない時間の使い方になってしまいましたが、ピーターラビットやワーズワースゆかりの地を効率よく回ることはできたので、しっかり満足した1日に。

そして無事に予約していた電車の時間となり、駅へ向かったわけですが、ここはイギリス。

このまますんなり旅が終わるなんてことはない。(笑)

予約した車両がない!?

イギリスを個人で旅していると、必ず何かしらのアクシデントに出会います。

留学中にもしょっちゅう経験していたので慣れっこではありますが、日本では考えられないことが普通に起きるので参ります。

このときもまた、然り。

早朝からの長距離移動にミニバスツアー、なんとか予定通りに何事もなくスケジュールをこなせたことにホッとしながら、最後1時間のお散歩疲れの体で駅に辿り着いたのは電車到着の10分前でした。

電車はめずらしくほぼ定刻でホームに入ってきました。

私の予約した席は「C号車」です。

が、しかし … ない。

C号車そのものがなかったのです!

そんなことってあります?(笑)

私は停車中の列車からホームに降りてきた車掌さんに切符を見せて、予約したはずのC号車はどこかを尋ねました。

そして車掌さんは切符と車両を見比べながらこう答えます。

「ん?ないね。でも、どこでもいいよ!」

もうね、笑うしかありません。

つまり、全席自由ってことですか???

私の購入した指定席番号はなんだったんでしょう?(笑)

この指定席は、イギリスに到着した日にロンドンからリーズに向かう前に、駅の窓口であらかじめ購入していたきっぷです。

当たり前ですが、ちゃんと乗車駅と目的地、列車の時刻も座席番号もすべて印字されているのに、その指定席が存在しないってどういうこと!?

ほんとうにイギリスの鉄道は理解不能なことが多く起こるんですよね。

慣れてるから必要以上に焦りはしませんでしたが、さすがにこのイギリス鉄道クオリティには閉口させられる出来事でした。

車掌さんが「どこでもいいよ!」って言うから、本当に適当な車両に乗ってみたらガラガラでした。(笑)

そんな感じで無事にウィンダミアを出発。

帰りは大都市マンチェスター経由ではなく、Preston という町でのトランジット。

駅舎の中には第1次世界大戦の部隊を称えるプレートが大きく掲げられていましたので、当時の重要な拠点として機能していた町なのでしょうか。

大きな駅ではありましたが、人影はまばらでガラーンとした典型的なイギリスの鉄道駅といった感じです。

旅の終わりに

こうして最後に少しばかりのハプニングはありましたが、なんとか予定通り無事に「湖水地方」日帰り強行ツアーは幕を閉じたのでした。

朝食も食べる時間がないくらいの早朝に出発した長い1日でしたので、リーズのホテルに戻ったときにはさすがにヘロヘロ。

前日には、ハワースで「あわや遭難!?」という過酷な1日を過ごした後ということもあり、この日はかなりのお疲れモードでした。

それでも念願の湖水地方に行くことができ、大満足!

ただ、湖水地方は範囲が広大なので、やっぱり現地に滞在してゆっくりとお散歩できる時間が欲しいな~と実感しました。

またいつか行く機会があれば、ぜひ何日か滞在してみたいです。

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