
雪組の次回大劇場公演『ボー・ブランメル~美しすぎた男~』について、原作があるわけではないのでどうやって予習しようかを考えていたのですが、ただジョージ・ブランメルの人生を調べるだけでは面白くないなと思い、まずは、ざっくりと「史実」×「作品」の違いを比較してみました。
ここからまたさらに、登場人物なども探っていけたらいいな~と思っています。
生田先生の脚本だから、個人的にはけっこう期待しています!
史実との共通点
1. 出自と教育背景
「平民出身」ながら、富を得た父親の意向で名門校に進学します。
歴史上のジョージ・ブランメルも、父は庶民出身ながら高収入の公職者で、ジョージはイートン校へ進学し、後にオックスフォードにも入学しました 。
イートン校は王室の子息が通うことでも有名なパブリックスクールです。
2. 美貌と洒脱なセンス
「美しきブランメル」と呼ばれ、美貌とファッションで社交界を席巻する様が描かれています。
歴史上の彼も「ダンディズムの祖」と呼ばれ、服飾や身だしなみに強いこだわりを持ち、「五時間かけて着飾った」「男性のモダンなスーツスタイルを確立」などの逸話があります 。
3. プリンスとの親交
ジョージ4世(当時プリンス・オブ・ウェールズ)と深い関係を築き、近衛隊入りします。
実際も、プリンス・オブ・ウェールズとはイートンからの付き合いがあり、軍の中で昇進、非常に親密でファッション界に影響を及ぼしました 。
4. 栄光から没落
作品では再会したメアリーにより、栄光の階段から歯車が狂い始めると描かれています。
史実では、晩年は賭博癖で借金を重ね、1816年に債務逃れのためフランスへ亡命。最終的には精神病院に入り、1840年にカーンで没しました 。
相違点と創作の要素
1. メアリーという恋人の存在
下町の女優メアリーとの恋と別れ、そして再会が物語の軸になっています。
歴史上、ブランメルの恋愛関係について有名な人物は記録されておらず、メアリーは創作人物と考えられます。
2. 身分差と「平民からの成り上がり」の演出
父親の意向や階級差が強調され、“平民として名門校に潜入”するドラマ構成が展開されています。
実際は父も相当な権力と資産をもち、教育面では上流社会へアクセスしやすい立場にありました。
厳密には“平民からの革命的ジャンプ”ほど過酷な壁はなかったようです 。
3. ドラマチックな再会の演出
メアリーとの再会がプリンスとの関係や地位に決定的な影響を与える構図。
実際の没落は借金や社交界からの排除が主な原因であり、特定の人物との再会で崩壊するという描写は史実にはありません。
まとめ
『ボー・ブランメル~美しすぎた男~』では、あらすじを読むかぎりでは、ジョージ・ブランメルの栄光と没落を、宝塚らしくメアリーとの恋愛や階級社会にからめて書かれている様子。
ジョージの出自や、美貌とファッションセンス、英国のプリンスとの関係性、社交界での華やかな振る舞い、そして最終的に破滅へ向かって行きそうなストーリーは、史実とほぼ一致しているようですね。
その一方で、恋愛についてはあまり史実では語られていないみたいなので、ここは宝塚ならではの演出が見られそう。
あやちゃんの退団公演でもあるので、きっと、生田先生が愛情たっぷりにドラマチックに描いてくれることでしょう。
そのうち、登場人物についても史実を勉強して、予想を楽しみたいと思っています!